獣医さんと上手につき合う法



 獣医さんとの出会いほど人それぞれで、
運の良い人も、悪い人も、
話を聞けばきっとゾロゾロ“いろんな先生のお話”がでてくるのではないかしら?

 信頼できる、安心して自分の愛する家族を託せる先生、
そんな先生と出会えるか否かで、猫たちの運命も変わってしまう気がします。

まして、ブリーディングをやりたいと思ったら、まず最初に主治医を捜す必要があるのでは?!

静岡に住んでいるときは、素晴らしい主治医との出会いがありました。
渡辺動物病院・渡辺直之先生とのおつき合いは、なんと16年。
 渡辺動物病院との出会いがあったからこそ、
私はブリーダーを始められた!ともいえるほど・・・。

 

24時間体制で、往診も可、車で20分という近さ、最新技術も機械も備えてあるし、知識欲も人一倍熱心で勉強家、明朗会計でとても良心的な診察料、多分これ以上望むものはない、というほどの最高の先生です。もちろん人間的にも、優しく頼りがいのある、動物の命を真剣に大切に扱って下さる正義感にあふれた三児のパパ。

 私は本当にラッキーなことに、最初から最高の先生に巡り会うことが出来ましたが
埼玉に越してきて1年、まだ主治医は決めかねている状態・・・

これから書く、私の要求は高すぎるのかしら?


私がもし主治医としての条件を要求するとしたら、
これだけは満たして欲しい、というのが……。

★動物に対して深い愛情と、生命を扱う自覚と使命感を持っていること
★病院は明るく清潔であること
★なるべく最新の設備を整えていて、最低限でも血液検査(生化学)は院内で出来ること
★出来れば車で30分以内で行ける距離にあること
★24時間体制で診てくれること(24時間は不可能でも、時間外に診てもらうことが出来ること)
★病気や検査、薬に対する質問に対し、面倒くさがらずわかりやすく答えてくれること
★料金が明瞭会計で、領収書に明細が記載されていること
★手指・器具・診察台などは、毎回必ず消毒していること
★注射器は使い捨てにして、注射針の管理などがきちんとされていること
★猫の体重を必ず量ってから薬を出すこと
★ワクチンの証明書にワクチンのロットナンバーのシールが貼られていること
★学会に出席しているとか、新しい知識を吸収しようとする努力が見られること
★院内に新しい薬やフードのパンフレットなどが掲示されていること
★猫の行動学・習性などについての知識があり、ブリーダーなどの経験者から学ぼうとする努力が見ら れること (なんといっても飼い主さんに優る観察者はいないわけですから、飼い主さんに敬意を払って下さる先生が望ましいと思います。もちろん飼い主さんにも努力が必要ですが)
★自分の手に負えない病気だと思ったら、直ちに責任を持ってその病気を治療できる病院を紹介して下さること

全部を要求するのは無理なお願いでしょうか?

 いいえ、これだけでもまだまだ足りないと思うのですが、あなたはどうお考えになりますか?

 こんな要求を満たしてくれる獣医さん、さてどうやって捜せばよいのでしょうね。

 『運』とか『縁』と言う言葉で片づけたくはありませんが、それが大きな要素である気もします。

 一番簡単なのは、評判の良い獣医さんを同じ猫友達に教えてもらうこと。
近場で見つかればそれに越したことはありませんが、
猫友達が遠くに住んでいる場合は、猫友達の主治医さんに、
自分の住んでいる地域の先生を紹介していただくという方法もあります。
同じ大学の出身者や、学会で顔を合わせるなどの先生の交友関係、
同業者の評判ほど確かなものはないでしょう。

もし信頼できそうな先生が見つかったら、
さて、
今度あなたの方は先生と仲良くつき合える飼い主さんになれますか?


 

獣医さんと仲良くつき合う6つの約束

 

1.診察を受けに行くときは必ずキャリーケースに入れること

キャリーケースがなければ、洗濯用のネットに入れるとか、猫が飛び出さないようにして連れて行くのが最低限のマナーです。病院は病気の動物が通院するところです。自分の可愛いネコちゃんを見せびらかしに行くところではありません。これ見よがしに抱いて「あら〜お宅のネコちゃん今日はどうしたの?」なんて話している飼い主さんをよく見かけますが、ちょっとした物音や話し声でもパニックを起こすのが猫です。もし、飼い主さんの腕から飛び出したネコちゃんが、運悪く開いたドアの向こうに飛び出したら、もう捕まえることは不可能かも。外に飛び出さなくても、他の患畜さんにかける迷惑は想像しただけでもぞっとします。診察を受けるその瞬間まで、特に待合室では猫を外に出さないこと。紐をつけているから、なんて安心している方も見かけますが、自分の可愛いネコちゃんにノミやダニ、他の病気を移したくなかったら、他の患畜さんと一切接触させないように注意して下さい。

どんなに他の猫や犬が可愛くても、素手で触らないこと。もし触った場合は、自分の猫を触る前にすぐ手を洗う。中には皮膚の病気で通院している場合だってあるのですから。

2.診察を受ける前に、先生から質問されるであろう事にちゃんと答えられるように。

具合の良くない、連れていく子の症状をチェックしておきましょう。
何時から
具合が悪くなったと気付いたのは何時ですか?もし外出している間に何か起こったなら、何時に出かけ て何時に戻って気付いたか、気付いたときの症状は?
どんなふうに
吐く:
いつ頃、何回ぐらい、どんな状態ものを?もし持っていけるのならサランラップなどで吐いたものをくるんで持参するのも診察の手助けになるでしょう。
下痢:いつ頃、何回ぐらい、どんな状態のものを?下痢をしている場合は、必ず便を持参する必要があ ります。ビニール袋の中に手を入れ、つかみ、反対にひっくり返して結んで持参します。あらかじめ病院に用意してある検便用の容器をもらっている場合はその指示に従います。
ぐったりしている:最後に食事をしたのは?何をどのぐらい食べたのか?水を飲んだのはいつ?オシッ コはいつも通り出ていますか?量は?

かかりつけの先生でない場合、ワクチンの記録も答えられるようにしておきましょう。
いつも何というメーカーのフードを一日何回、どのような形で与えているか、等も答えられるように。
大概はそれほどの重病でなく、先生も診断すればおおよその病名はわかるでしょうが、飼い主さんの観察に優るものはありません。日頃から猫の行動を注意して覚えておいて、少しでもいつもと違う様子が見られたら、それを報告しましょう。

何気ない飼い主さんの観察力が診断の手助けになることもあります。

3.簡単に自分の猫の性格を説明しましょう。

飼い主にとってはどんなに可愛い良い子でも、はじめての先生には、もしかしたらすごく凶暴な猫に豹変するかも知れない不安があります。家で一度でもパニックを起こしたことがあるならば、それを伝えて、先生に心の準備をしていただきましょう。もちろんどんな時でも、どんな子にも対応できるよう先生は訓練を受けていますが、あらかじめ心の準備が出来ている方が良いと思います。家ではどんなに良い子でも、診察室ではそうでないことがあり得るのですから。

4.治療の最中に質問したり、話しかけるのはやめましょう。

ある程度治療が一段落して、先生の方から話して下されば、その時わからないことを質問するのはかまいわないでしょう。でも、診察中は先生も色々な症例を考えている最中かも知れませんから。もし、どうしても疑問に思うことがあって、その時質問したいならば、「今、お話伺ってもよろしいですか」と都合を尋ねる余裕が欲しいものです。

5.わからないことはきちんと聞き返しましょう。

もし、面倒くさがったり、曖昧な返答しか返ってこない場合は信頼関係を築ける先生ではないかも知れません。人間同士ですから『合う』『合わない』はあると思いますが、先生の方に命を預かっているという自覚が見られない場合、主治医としてお願いするのは考えものです。後で後悔を残さないために、今一度考え直してみて下さい。

お薬が出た場合は、何のためのお薬か、何という名前のお薬か、聞いてみましょう。出来るだけ聞いたことはメモに残し、自分自身の知識にして下さい。

ただし、何回獣医に通って、様々な病気の診断に立ち会ったとしても、あなたはあくまで素人です。それ専門の勉強を積んだ獣医師とは違うと自覚して下さい。素人判断で、前に頂いた薬はこの症状の時に飲ませれば良い、などと判断し、勝手に薬を与えるなどもってのほかです。

診断はあくまで獣医師に任せましょう。そのためにも信頼できる先生を捜すための努力をして下さい。

また、病状が落ち着いたからといって出された薬を素人判断でやめたりしないで、指示通り最後まで飲ませましょう。

薬の飲ませ方など、もし、不安に思うことがあれば、先生に教えていただきましょう。先生とは気軽に質問が出来る、アドバイスのいただける関係でなければいけません。 

6.ネコちゃんの診察カレンダーを作りましょう。

ワクチンと血液検査(ウイルスと生化学・肝臓や腎臓、白血球や赤血球、体の健康チェックのための検査です)は毎年何月に、検便は何ヶ月に一回、健康診断は年に何回、もし年のいった猫であれば成人病の検査も必要になります。

そんな風に先生との診察カレンダーを作ってみてはいかがですか?
何月にいくらお金が必要、と予算を立てることもできます。
早め早めに猫の健康をチェックすることは、将来的に大きな節約になると思います。
重い病気にかかって、手遅れになってから病院に行って、多額の治療費を払って、それで助からなかった……。そのような悲劇を迎えないためにも、定期的に診察を受け、病気の芽を早めに発見しましょう。治療費だって発病してからよりずいぶん節約になるはずです。


 

子猫のうちに教えておきたいこと

獣医さんと仲良くなるために、できることならば子猫のうちに教えておきたいことがいくつかあります。

1.いつ何時獣医さんに預けなければいけない状況が発生するか、これは誰にも予測できません。
できれば、
ドライフードを食べるようにしておきたいものです。特別な調理が必要な食事しか食べない、これでは困ることもあります。

2.やはり、いつ何時薬を飲ませなければいけない状況になるかわかりません。
子猫のうちから、エビオスやビオフェルミンのような、飲ませても問題のないお薬を飲ませて、
薬を楽に飲ませられる癖をつけて下さい。

薬の飲ませ方
は左手で猫の頭の後ろから手を回し、猫の口元を固定します。
口の付け根を押すと自然に口は開きますから、その間になるべく急いで右手で薬を猫の喉の奥へ放り込みます。
口の中に手が入った瞬間に、無意識に猫は口を閉じようとしますので、そのときに猫の歯で指を傷つけないように注意して下さい。
注射器のような形をした猫への投薬の器具をアメリカでは売っています。通販などで手に入りますので、それを利用するのも良いでしょう。
子猫のうちから週1回程度でも、そうやって口を開かせて、口の中に指を入れる練習をしておけば、いつか本当に投薬しなければいけない状況になったとき、非常に助かります。
猫への投薬は、水薬・粉薬・錠剤と様々なものがありますが、私の経験ではなるべく水薬を避けて処方してもらいようにしています。水薬はどんなに旨く飲ませても、口から泡を吹いて抵抗する猫がいるからです。
粉薬の場合は薬局で購入できるなるべく小さなカプセルに詰めれば、錠剤と同じように楽に投薬することができます。


生き物を飼うのですから、なにかあったときは獣医さんに頼るしかありません。
口のきけない猫の言葉を理解してあげられるのは飼い主さんだけです。
日頃の観察が非常に大切です。
1日何回くらいオシッコをするのか、ウンチは?時間は?
毎日の生活リズムを変えなければ、それほど変化は起こらないはずです。

何かがおかしい、いつもと様子が違う、

その飼い主さんの感だけで、大きな病気に至らずに済む場合があります。


 

2000.6

メニューへ戻る